クールな年下男子と、甘い恋を。

「ところでさー、成瀬くんが野田を殴ったってのは事実なんでしょ? あのガタイのいい野田をぶっ飛ばすなんて凄いよねぇ。格闘技でも習ってたの?」
「兄貴が昔、柔道を習ってて。教えてもらった」
「そうなんだ?」
 これは私も初耳だった。

「ああ。俺より兄貴のほうが遥かに強いよ」 
「えー、成瀬先輩が柔道やってたなんて意外ー。華道とか茶道とかならわかるんだけど。着物とか絶対似合うし、超見たい……って、まあそれは置いといて。中学のときに女子を階段から突き落としたっていう噂は嘘なんだよね? でもそれ私、ほんとにそうだって成瀬くんと同中の後輩から聞いたことがあるんだけど」
「ああ、それはふられた女の腹いせ」
「へ?」
「え?」
 みーこと一緒に見つめる。
 漣里くんは書類でも読み上げるように、淡々と語った。

「学校で一番可愛いとか言われてた女子に呼び出されて、屋上で告白されたんだけど、俺は好きでもなんでもなかったから断った。そしたら勝手に階段から落ちて転んでて、俺のせいにされたってだけ」
「な!?」
 耳を疑う真相に、私は口をあんぐりと開けた。

「はあ? なんじゃそりゃ、とんでもない女子もいたもんね」
 みーこも立腹したらしく、柳眉をつりあげた。