クールな年下男子と、甘い恋を。

 昼休憩中。

「失礼なこと言っちゃって、ほんっとにごめん! 悪かったです、このとーり!!」
 特別棟の屋上でみーこは頭を下げ、顔の前で両手を打ち合わせた。
 ぱんっと、小気味良い音が屋上に響く。

 みーこが謝罪場所として特別棟の屋上を選んだのは、そもそもここが立ち入り禁止で、誰かが来る確率が非常に低いから。

 そうじゃなければ漣里くんは来てくれず、謝罪は放課後まで延期になっていただろう。
 私は気になることがあるとずっと考えてしまうタイプだし、何よりこの件は一刻も早く解決したかったから、漣里くんが応じてくれて良かった。

「別にいい」
 平謝りするみーこに対し、漣里くんは無表情。
 私にはそれが地なのだとわかるけれど、みーこには怒っているようにしか見えないらしく、彼女はさらに言葉を重ねた。

「気が済まないなら一発殴ってもいいよ? 大丈夫! 私柔道部だし、趣味で鍛えてるから遠慮は無用! ヘイカモン!」
「人の話を聞いてくれ。さっきからずっと気にしてないって言ってるだろ……」
 こいこい、と両手で胸を仰ぐような仕草をするみーこに、漣里くんは若干呆れ顔。

「俺は女に手をあげるような最低な奴にはなりたくない。真白の友達ならなおさら、絶対無理」
「それじゃ私が申し訳なさ過ぎるんだってば。成瀬くんにはもちろん、真白にもさ。ほんとに殴ってくれていいんだよ? 私だって彼氏が三回も浮気したときはブチ切れて往復ビンタからのボディーブロー、とどめに後ろ回し蹴りで沈めたもん。今朝の私の発言はそれくらい酷いものだったよ、自覚ある。だからどーぞ!」
「いや、ほんとにいいって……なあ、笑ってないでどうにかしてくれ」
「あ、ごめん、笑ってた?」
 私は口元を手で覆い隠した。