クールな年下男子と、甘い恋を。

 でも、彼は自分よりも成績の悪い人間、つまりクラスの大半を見下していた。
 高学歴で教育熱心な両親にそうと教え込まれたのか、彼は学業以外に価値も関心も見出さない。成績こそが全てだと信じ切っている。

 一学期の中間テストで赤点取っちゃったよ、と落ち込む女子に向かい、赤点なんて僕なら恥ずかしくて死んでるね、と言い放ったのが強烈な反感を買い、彼に声をかけるクラスメイトはいなくなった。

 心の距離感を示すように、彼の席の周囲の空間は他の席に比べて空いている。
 クラスが小さな社会だとしたら、これもいわば処世術の一環なのだろう。
 誰だって自分を不愉快にさせる人間に好んで近づきたくはない。

 でも、虐めみたいに無視するのは、なんか違うよね。
 せっかく同じクラスになったわけだし、さ。

「そんな冷めたこと言わないで、楽しもうよ。せっかくの文化祭なんだし」
「ふん」
 振り返って声をかけると、小金井くんは煩わしそうにそっぽ向いた。

「小金井に声をかけるなんて物好きね」
 後ろの席の女子にそう言われて、私は苦笑いするしかなかった。