「それじゃ、第三希望の出し物まで決めたいと思います」
黒板の前で文化祭実行委員となった男子が言い、みーこは黒板に『第一希望』『第二希望』『第三希望』と続けて書いた。
他のクラスとの兼ね合いがあるため、全クラスとも出し物は第三希望まで決めることになっている。
この辺りのルールは既にみんな知っているため、滞りなく話し合いは進んで行った。
何にしようか、何がいいかな、と皆が言い合う中、私の耳に届いたのは和気藹々とした空気に水を差す一言。
「なんでもいいだろ。高校の文化祭なんてしょせんは児戯だ」
発言者は、私の席の斜め後ろに座る男子、小金井《こがねい》くん。下の名前は知らない。正直に言って、それほど興味もなかった。
「なんでこんなくだらない行事が授業の一環なんだろうな。日本の官僚は馬鹿ばっかりだ。英単語の一つでも覚えたほうがよっぽど有意義だっていうのに」
少しぼさついた黒髪に、縁のない眼鏡。
ひょろっとした細身の体躯。
彼は物事を斜めに捉えるのが美学とでも思っているのか、度々こうした空気を読まない発言をし、敵を作っている。
休憩時間中は誰とも馴れ合うことなく、自分の席でずっと勉強し続けている。
時にはこれ見よがしに明洸大学の赤本を開くこともあり、「高二で赤本って……」「しかも明洸……」と、皆にドン引かれていた。
学生の本分は勉強なのだから、勤勉なこと自体は全くの問題ではない。
彼が葵先輩と同じ明洸大学を志望するに相応しく、常に学年上位の成績を誇っていることも、褒められるべきことだ。
黒板の前で文化祭実行委員となった男子が言い、みーこは黒板に『第一希望』『第二希望』『第三希望』と続けて書いた。
他のクラスとの兼ね合いがあるため、全クラスとも出し物は第三希望まで決めることになっている。
この辺りのルールは既にみんな知っているため、滞りなく話し合いは進んで行った。
何にしようか、何がいいかな、と皆が言い合う中、私の耳に届いたのは和気藹々とした空気に水を差す一言。
「なんでもいいだろ。高校の文化祭なんてしょせんは児戯だ」
発言者は、私の席の斜め後ろに座る男子、小金井《こがねい》くん。下の名前は知らない。正直に言って、それほど興味もなかった。
「なんでこんなくだらない行事が授業の一環なんだろうな。日本の官僚は馬鹿ばっかりだ。英単語の一つでも覚えたほうがよっぽど有意義だっていうのに」
少しぼさついた黒髪に、縁のない眼鏡。
ひょろっとした細身の体躯。
彼は物事を斜めに捉えるのが美学とでも思っているのか、度々こうした空気を読まない発言をし、敵を作っている。
休憩時間中は誰とも馴れ合うことなく、自分の席でずっと勉強し続けている。
時にはこれ見よがしに明洸大学の赤本を開くこともあり、「高二で赤本って……」「しかも明洸……」と、皆にドン引かれていた。
学生の本分は勉強なのだから、勤勉なこと自体は全くの問題ではない。
彼が葵先輩と同じ明洸大学を志望するに相応しく、常に学年上位の成績を誇っていることも、褒められるべきことだ。


