クールな年下男子と、甘い恋を。

「でも――」
「何より、いじめの事実が明るみに出たら、あいつが困ることになるから」
「……」
 その言葉に、私は何も言えなくなった。
 もしかして、漣里くんが庇ったその人は友達なのかな?

「……じゃあ、信頼できる人にだけになら、事実を打ち明けてもいい?」
 これが私に出せる精一杯の妥協案だった。

「……ああ。そこら辺の判断は任せる。でも、言いふらすようなことはしないで」
「……うん」
 漣里くんは本当に、現状を変えるつもりはないみたいだ。
 この先もずっと、『誰か』のために被らなくてもいい泥を被り続けるつもりなんだ……

「……この話はこれで終わりにして、そろそろ行こう。遅刻する」
 黙り込んでいると、漣里くんはそう促した。
 確かに、もうそろそろいかないと始業式に遅刻してしまう。

「先に行って。俺も少ししたら行くから」
「……。わかった」
「学校では他人を装うけど、放課後になったらラインするから」
 歩き出した私の背中に、そんな声がかけられた。

「ごめんな」
「…………」
 どうして漣里くんが謝らなければいけないのだろう。

 なんと答えればいいのかわからず、口元を引き結び、路地裏を後にする。
 漣里くんと堂々と一緒に歩けないのが、悔しい。
 前方で楽しそうに話しているカップルから目を逸らし、私はそっと唇を噛んだ。