クールな年下男子と、甘い恋を。

「俺たちが付き合ってることは内緒にしといたほうがいいと思う」
「……え」
 思いも寄らない言葉。

「さっきの皆の反応見ただろ。俺と付き合ってることを公表すれば、真白まであんな視線に晒される。何度も気にしないって言ってくれたけど、俺は気にする。俺は慣れてるしどうってことないけど、真白まで白い目で見られるのは我慢ならない」
「私は大丈夫だよ!」
 縋るように叫ぶ。
 漣里くんと付き合うようになって、新学期が近づくにつれ、色んなことを考えた。
 もし学校で漣里くんと顔を合わせることがあれば、恋人らしく笑顔で手を振ったり、挨拶したりしたい。

 好きな人とお昼を一緒に食べるとか、最高すぎる!
 なんだかいいなぁ、それって幸せだなぁ、なんて空想しては悦に浸っていたのに。
 付き合っていることを伏せるとなれば、楽しい空想も全部ご破算だ。

「それに、この際だから言っちゃうけど……私、文化祭のダンスパーティー、漣里くんと踊れたらいいなって思ってたんだよ?」
 文化祭――通称『時海祭』の二日目の後夜祭には、伝統的な恒例行事がある。
 それが生徒会主催、夜のダンスパーティー。
 しかもなんと、服装は自由。
 制服で参加する生徒もいれば、文化祭で着た衣装で参加する生徒、この日限りの自作コスプレを楽しむ生徒、あるいはドレスを着る生徒。
 ダンスパーティーは実にカオスで、楽しい空間が繰り広げられる、裏のメインイベントともいえる行事なのだ。

 去年はお相手がいなかったから、みーこと踊ってみたり、生徒会の手伝いみたいなことをしてたけど、今年は違う。
 花火大会の無念も込めて、今度こそ綺麗に着飾って、漣里くんと踊りたいなって……思ってたんだよ。