てのひらは君のため〜クールな年下男子と始める、甘い恋〜

「あづい……」
 高校が夏休みに入った七月末。
 私はふらつきながら、真夏の太陽が照りつける路上を歩いていた。

 いまは図書館からの帰り道。
 予約した本が入ったって連絡がきたから、受け取りに行ったの。

 午前中に行けば暑さもマシかなって思ったんだけど……甘かった。
 こんなに暑いなら、夕方に行けば良かったよー!!

 嘆いても、現実は変わらない。
 まだ図書館を出て十分しか歩いてないのに、汗がとめどなく噴き出す。
 髪やシャツが肌に張り付いて気持ち悪い。

 息が荒れる。
 何より暑い――ううん、暑いなんて単語じゃ生温い。
 この異常な熱気は『暑い』を通り越して、もはや『熱い』という表現が正しい。

 ちゃんと帽子は被ってるのに、顔は発火したように熱く、汗が顎を伝い落ちていく。
 夏に備えて髪をボブにしたのも間違いだった。
 友達はさっぱりしたねって言ってくれたけど、括れる程度には残しておけばよかった。

 セミの声が耳の中でわんわん鳴り響いて、頭がグラグラする。
 ああ、駄目だ。
 このままだと倒れそう。

 ちょっと休もう。
 私はふらふらと歩いて、建物の日陰に入った。