「菜月ーっ!」
暎子の悲鳴が、遠くに聞こえるようであった。
次の瞬間、身体が横に吹き飛ぶ感覚。
強い衝撃が足首のあたりに走る。
いたっ。
私、車にひかれたの?
おそるおそる目を開けた菜月は、驚きに息を飲む。
両腕で自分をかばうように抱きかかえている男の子の顔が間近にあった。
きれいな顔立ちの男の子だ。
さらに、その子が知った人物であることに気づいた菜月は、目を見開く。
「翔流くん」
かすれた声がもれた。
同じクラスの鴻巣翔流だった。
菜月は、自分がさっきまで立っていた場所に、視線を向ける。
ガードレールにぶつかった車が、白い煙をあげていた。
バンパーがぐにゃりとへこみ、エンジンが剥き出しになっている。
運転席では、男の人が血を流し、ぐったりとしているのが見えた。
さあ、と血の気が引いていく。
もし、あの場から動けずにいたら、完全に巻き込まれていた。
菜月の視界に、ガードレールに添えられた花束が映る。
事故だ! 救急車を呼べ! という声と、泣き叫ぶ悲鳴が交じり、辺りは騒がしい。
菜月は震える手で、翔流の腕に手を添えた。
翔流くんが、助けてくれた。
翔流が自分を抱え、向かってくる車から逃れるよう横に飛んで地面に転がったのだ。
「翔流くん、ありが……」
「おまえ! こんなことをしてどういうつもりだ! 許さないぞ!」
助けてもらったお礼を言おうと口を開いたが、いきなり翔流が怒鳴りだし、菜月は言葉を失う。
なんでいきなり怒るの?
許さないってどういうこと?
確かに、ぼうっとしていたけど。
そこへ、周りにいた人たちが集まってきた。
「君たち、だいじょうぶか!」
「怪我はないかね!」
「だ、だいじょうぶです……」
翔流くんは? と聞こうと視線を上げると、立ち上がった翔流が手を差し出してきた。
「立てるか」
菜月はうなずいた。
さっきは何でいきなり怒ったの、という疑問が頭の中でかすめつつも、声にすることはできず、菜月は翔流の手を取り立ち上がる。
「菜月! 鴻巣くん!」
顔色を変え、暎子が駆け寄ってきた。
「私はへいき。暎子は、怪我はない?」
「あたしはなんとも。よかった。まさか、車が突っ込んでくるなんて。鴻巣くんも怪我は? ありがとう。菜月を助けてくれて、ありがとう!」
泣きながら暎子は翔流の両腕を握り、ぶんぶん振り回し、何度もお礼を言う。
それから菜月と翔流は、念のため医者に診てもらうため病院に連れていかれた。
暎子の悲鳴が、遠くに聞こえるようであった。
次の瞬間、身体が横に吹き飛ぶ感覚。
強い衝撃が足首のあたりに走る。
いたっ。
私、車にひかれたの?
おそるおそる目を開けた菜月は、驚きに息を飲む。
両腕で自分をかばうように抱きかかえている男の子の顔が間近にあった。
きれいな顔立ちの男の子だ。
さらに、その子が知った人物であることに気づいた菜月は、目を見開く。
「翔流くん」
かすれた声がもれた。
同じクラスの鴻巣翔流だった。
菜月は、自分がさっきまで立っていた場所に、視線を向ける。
ガードレールにぶつかった車が、白い煙をあげていた。
バンパーがぐにゃりとへこみ、エンジンが剥き出しになっている。
運転席では、男の人が血を流し、ぐったりとしているのが見えた。
さあ、と血の気が引いていく。
もし、あの場から動けずにいたら、完全に巻き込まれていた。
菜月の視界に、ガードレールに添えられた花束が映る。
事故だ! 救急車を呼べ! という声と、泣き叫ぶ悲鳴が交じり、辺りは騒がしい。
菜月は震える手で、翔流の腕に手を添えた。
翔流くんが、助けてくれた。
翔流が自分を抱え、向かってくる車から逃れるよう横に飛んで地面に転がったのだ。
「翔流くん、ありが……」
「おまえ! こんなことをしてどういうつもりだ! 許さないぞ!」
助けてもらったお礼を言おうと口を開いたが、いきなり翔流が怒鳴りだし、菜月は言葉を失う。
なんでいきなり怒るの?
許さないってどういうこと?
確かに、ぼうっとしていたけど。
そこへ、周りにいた人たちが集まってきた。
「君たち、だいじょうぶか!」
「怪我はないかね!」
「だ、だいじょうぶです……」
翔流くんは? と聞こうと視線を上げると、立ち上がった翔流が手を差し出してきた。
「立てるか」
菜月はうなずいた。
さっきは何でいきなり怒ったの、という疑問が頭の中でかすめつつも、声にすることはできず、菜月は翔流の手を取り立ち上がる。
「菜月! 鴻巣くん!」
顔色を変え、暎子が駆け寄ってきた。
「私はへいき。暎子は、怪我はない?」
「あたしはなんとも。よかった。まさか、車が突っ込んでくるなんて。鴻巣くんも怪我は? ありがとう。菜月を助けてくれて、ありがとう!」
泣きながら暎子は翔流の両腕を握り、ぶんぶん振り回し、何度もお礼を言う。
それから菜月と翔流は、念のため医者に診てもらうため病院に連れていかれた。
