いつの間にか、好きだった

今日最後の授業が終わり、教室が一気にザワザワとした空気に包まれる。

長く感じた授業がやっと終わった。

ふぅっと一息つきたい気持ちだけど、朝比奈くんにお礼を言わないと。

「朝比奈くん、さっきはありがとう」

「別に。.....また困ったら言って」

そう言って、朝比奈くんは荷物を持って教室を後にする。

.....また困ったら言ってもいいんだ。

朝比奈くんの言葉を何度も頭の中で繰り返しながら、
思わず目で追いかけてしまったけれど、
はっと我に帰って鞄の支度をする。

「え〜?朝比奈と何話してたの?」

と奈々美が声をかけてくる。

「べ、別に何でもないよ。ただ授業の時に教科書のページ教えてくれたからお礼を言っただけ」

「ふ〜ん、つむぎが男子と話してるなんて珍しいと思ったら、朝比奈そういう優しいところもあるんだねえ」

ニヤニヤした表情の奈々美。

「本当にそれだけだからね!」

「はいはい、わかったよ〜」

普段、男の子とあまり話さない私の様子を知っている奈々美からしたら、珍しい光景だったのだろう。

奈々美には私の緊張がお見通しのようで恥ずかしいけれど、気にしないことにした。

席替えをしてからの緊張が一気にほぐれ、ドッと疲れを感じる。

でも心は席が分かった時よりも少し明るくなった気がした。