六年一組の昼休み。教室後の窓際に陣取っておしゃべり。
「秋の連休、シーサイドパークに行くんだ。前は雨だったからリベンジ」
幼なじみの美佐の自慢が始まった。
「いいなぁ」「泊まり?」
「車で日帰りだよ!」
ふーん、私なんか夏休みに「お泊り」だった。
「私も! 私も行ったよ、夏にさ。パパがオフィシャルのホテルの最上階、予約してくれて……」
「わぁ、さすが、ルリ」「すごい!」
みんなの視線が私に集まる。
「でも、あそこの一番上の部屋って……。えっと、なんでもない。うん、平気みたいだしね」
美佐が言いかけてうつむいた。相変わらず、変な子。
数日後、教室の主役は、また美佐だった。
「この間、見ちゃったの、体育倉庫で。うちの七不思議の黒い霧。みんなも気をつけてね」
「すごいね美佐、やっぱ霊感少女!」
なんか嘘っぽくない? でも、ひらめいた!
「私も見た! ほらこれ!」
スマホには、体育館横の花壇の写真。写りが悪くて、画面の下が黒くぼやけてるのが、かえってそれらしく見える。
「これ、見える人にしか見えないんだよ」
さっと顔色を変えた美沙。
ここで邪魔が入った。
「実は私、夏休みに盲腸で入院してたんだ」
ハルの告白に、クラス中が沸く。
「えっ、手術したの?」「麻酔は?」
「麻酔、怖かったけど、痛くなかった。お腹に三つ、小さな穴だけだよ」
「がんばったね」「勲章だね」ほめられて顔を赤したハル。
私の心霊写真の話が一瞬で流された。
「でね、あたし三日間、入院したんだぁ」
たった三日! なのに自慢しすぎじゃない?
「ハルちゃんのは、穴でしょ? 傷じゃないじゃん!」
思わず言葉が飛び出た後、頭の中がかーっと熱くなった。
まだ言いたいことがあるのに、口がしびれて、手が震えてる。
私は後ろを向いて、半袖ブラウスをめくった。
カッターを持つ手。
シャーーーーーーーっと。
銀色の刃。
ハルの前に割り込み、勢いよくブラウスをまくり上げた。
ん、ん。やっと口開く……、声がでた。
「私もね、傷……あるの……。ハルちゃんより、ずっと……ずっと立派でしょ?」
悲鳴。絶叫。凍りつく教室。ゆっくりと見まわす。
美佐がガタガタ震えながら、こっちを指をさして叫んでる。
何を言ってるの?ごめーん、もう、わかんないや。
悲鳴。絶叫。凍りつく教室。
——私も。私も、あるの。
見て! 見てよ!……みんな……。
「秋の連休、シーサイドパークに行くんだ。前は雨だったからリベンジ」
幼なじみの美佐の自慢が始まった。
「いいなぁ」「泊まり?」
「車で日帰りだよ!」
ふーん、私なんか夏休みに「お泊り」だった。
「私も! 私も行ったよ、夏にさ。パパがオフィシャルのホテルの最上階、予約してくれて……」
「わぁ、さすが、ルリ」「すごい!」
みんなの視線が私に集まる。
「でも、あそこの一番上の部屋って……。えっと、なんでもない。うん、平気みたいだしね」
美佐が言いかけてうつむいた。相変わらず、変な子。
数日後、教室の主役は、また美佐だった。
「この間、見ちゃったの、体育倉庫で。うちの七不思議の黒い霧。みんなも気をつけてね」
「すごいね美佐、やっぱ霊感少女!」
なんか嘘っぽくない? でも、ひらめいた!
「私も見た! ほらこれ!」
スマホには、体育館横の花壇の写真。写りが悪くて、画面の下が黒くぼやけてるのが、かえってそれらしく見える。
「これ、見える人にしか見えないんだよ」
さっと顔色を変えた美沙。
ここで邪魔が入った。
「実は私、夏休みに盲腸で入院してたんだ」
ハルの告白に、クラス中が沸く。
「えっ、手術したの?」「麻酔は?」
「麻酔、怖かったけど、痛くなかった。お腹に三つ、小さな穴だけだよ」
「がんばったね」「勲章だね」ほめられて顔を赤したハル。
私の心霊写真の話が一瞬で流された。
「でね、あたし三日間、入院したんだぁ」
たった三日! なのに自慢しすぎじゃない?
「ハルちゃんのは、穴でしょ? 傷じゃないじゃん!」
思わず言葉が飛び出た後、頭の中がかーっと熱くなった。
まだ言いたいことがあるのに、口がしびれて、手が震えてる。
私は後ろを向いて、半袖ブラウスをめくった。
カッターを持つ手。
シャーーーーーーーっと。
銀色の刃。
ハルの前に割り込み、勢いよくブラウスをまくり上げた。
ん、ん。やっと口開く……、声がでた。
「私もね、傷……あるの……。ハルちゃんより、ずっと……ずっと立派でしょ?」
悲鳴。絶叫。凍りつく教室。ゆっくりと見まわす。
美佐がガタガタ震えながら、こっちを指をさして叫んでる。
何を言ってるの?ごめーん、もう、わかんないや。
悲鳴。絶叫。凍りつく教室。
——私も。私も、あるの。
見て! 見てよ!……みんな……。
