24時の秘めごと。

 

 隣に座る彼の腕は、思っていたよりもずっとたくましい。
 大きくて骨ばっていて、でも動きに無駄がなくて。
 ――男の人の手だ。そう思った。

 大輝の手はもっと細くて、爪の形が綺麗なところが好きだったけど、先輩の手は掴まれたら簡単には敵わなさそうな、そんな強さと色気を持っていた。
 自分とはまったく違う、男という生き物。

 この人に、この手に触れられたら、どんな気持ちになるんだろう……。
 そんな想像が勝手にわき上がる。

「……どした?」

 ふいに低い声が耳もとで響いて、はっと我に返る。

 隣にいた先輩がこちらに体を傾けていた。
 距離が縮まり、心臓が飛び跳ねる。
 その瞬間ふわりと香ったのは、タバコの匂いと微かにスパイシーな香水の香り。

 それが、彼の体温に甘く溶ける。

 私は思わず息を飲む。
 頭がくらくらするほど蠱惑的な夜の香り。
 彼の吐息まで感じられそうな距離に、動揺が大きくなる。

「……なに。俺のことじっと見てた?」

 くすっと笑った声には、いつもの余裕と、少しだけ意地悪な気配が混じっていた。