24時の秘めごと。

 

 でも、間接照明に照らされた男らしいその横顔が、思わず見とれてしまうほど整っていて、吸い込んだ煙草の煙をくゆらせるしぐさすら絵になって、目が離せなかった。

 タバコと香水の混ざった、独特の匂いがふわりと鼻をかすめる。
 大輝とはまったく違う、余裕と色気に満ちた大人の男。
 心臓が、落ち着かない。

「……でも、『本気で好きなのはお前だけ』って言葉も、嘘じゃないとは思うけどな」

 そう言われ、小さく唇を噛んだ。

 私が期待していたのは、そんな言葉じゃない。
 最低な男だなって。
 浮気する男なんてやめておけって。
 一緒になって大輝を責めてほしかった。

 私はグラスの中の氷を見つめたまま、悪態をつく。

「神谷先輩も、悪い男ですもんね」
 
 私がそう言うと、神谷先輩はカウンターに頬杖を付き「なんで?」とこちらを見た。

「富田さんが言ってましたよ。CAさんとの合コンに神谷先輩を連れて行ったら、参加した美女が全員先輩に惚れたって。モテるくせに、特定の相手を作らずふらふら遊び回ってるから迷惑だって」
「……でかい尾ひれがついてんな」

 そう言いながら、先輩は煙を吐き薄く笑った。

「否定はしないんですね」
「否定したところで、お前信じないだろ?」

 その余裕のある言い方に、胸の奥がきゅっと音を立てる。

 タバコの煙ごしに見える先輩の笑みが、まるでこちらの動揺を見透かしているようだった。
 鼓動の音ばかりが、やけに大きく響く。