目を合わせずに言った大輝の声は、明らかに不機嫌だった。
会話を放棄するようにスマホをいじりだした彼に、むっとして口を開く。
「だいたいさ、浮気するのは大輝でしょ?」
理性よりも先に感情が言葉を引っぱった。
大輝がスマホを置いて私を見る。
「は? またその話かよ」
「またって。自分が何回浮気したと……」
「だからちゃんと謝って、お前も許すって言っただろ。そうやって蒸し返すなよ、めんどくせぇ」
「そんな言い方なくない? 私はショックだったんだからね」
「しょうがないだろ、お前がいつも忙しいから――」
その瞬間、部屋にピロンと軽い音が鳴った。
彼のスマホの通知。
SNSのメッセージ。
画面には、髪の長い女の子が手のひらで口もとを隠したかわいらしいアイコン。
見知らぬ女の子の名前と、ハートマーク。
〝昨日は会えて嬉しかった♡ また遊ぼうね!〟
その画面を見下ろしながら、小さく息を吐く。
怒りとか、悲しみとか、そういう感情じゃなかった。
ただ、すっと心が冷めていく音が、自分の中に静かに響いた。
「……私が忙しいから、こうやっていろんな女の子と連絡を取り合ってるんだ」
自分でも驚くくらい、その声は低く落ち着いていた。


