表示されているのは、編集途中の動画。
無数のレイヤーとエフェクト。
神谷先輩は動画編集ソフトのタイムラインを行ったり来たりしながら、フレーム単位の微調整を重ねていた。
「……このシーンの光だけ、ちょっと浮いてんだよな」
そんなひとりごとをもらしつつ、キーボードを叩く指は止まらない。
普通の人なら気にも留めないような違和感を、先輩は当たり前のように拾って修正していく。
真剣な表情。彼の黒い瞳が、モニターの青白い光を反射していた。
そんな彼に思わず見とれそうになる。
仕事中の神谷先輩の横顔が地味に色気があってずるいというのは、この会社で働く女性社員全員の共通認識だ。
「お前こそ、どうした」
ふいに声をかけられ、はっとした。
「あの、ええと」
なんて言い訳をしよう。視線を泳がせながら考える。
「か、鍵を無くして部屋に入れなくて」
私がそう言うと、「嘘が下手だな」と短く言われた。
「なんで……」
「泣きそうな顔してる」
そのひと言で、こらえていた感情が喉の奥で軋む。


