24時の秘めごと。

 

 なに考えているんだろう。
 神谷先輩のことは尊敬してるけどあくまでコンポジターとしてで、私には大輝という恋人がいるのに。

「ひとりで大丈夫です」

 私がそう答えると、神谷先輩はあっさりと納得する。

「気を付けて帰れよ」
「……はい」

 うなずいて立ち上がる。
 スマホを掴んで「話を聞いてくれてありがとうございました」と頭をさげる。

 店を出て行こうと背を向けると、「中川」と名前を呼ばれた。
 足を止め振り返る。
 先輩は煙草に火をつけながら、口を開いた。


「俺はもう少し飲んでるから、終電に間に合わなかったら戻っておいで」


 その言葉に息をのむ。

 試されてるのかもしれないし、からかわれてるだけかもしれない。
 だけど、胸の奥の心臓が大きく音をたてた。