なに考えているんだろう。
神谷先輩のことは尊敬してるけどあくまでコンポジターとしてで、私には大輝という恋人がいるのに。
「ひとりで大丈夫です」
私がそう答えると、神谷先輩はあっさりと納得する。
「気を付けて帰れよ」
「……はい」
うなずいて立ち上がる。
スマホを掴んで「話を聞いてくれてありがとうございました」と頭をさげる。
店を出て行こうと背を向けると、「中川」と名前を呼ばれた。
足を止め振り返る。
先輩は煙草に火をつけながら、口を開いた。
「俺はもう少し飲んでるから、終電に間に合わなかったら戻っておいで」
その言葉に息をのむ。
試されてるのかもしれないし、からかわれてるだけかもしれない。
だけど、胸の奥の心臓が大きく音をたてた。


