毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「実は、貴国に無理な要求をしようとしておりました」
正直に言った。
「しかし、この茶を飲んで、考えが変わりました」
皇帝を真っ直ぐ見る。
「これほどの文化を持つ国を、軽んじてはならない」
使節団長は、懐から文書を取り出した。
「我が国の提案、大幅に譲歩させていただきます」
その文書を皇帝に差し出す。
皇帝は文書を受け取り、目を通した。
表情が明るくなった。
元の提案とは比べ物にならないほど、有利な内容だった。
貿易の条件。
国境の問題。
全てにおいて、大幅な譲歩。
政治的勝利だった。
鈴音の一杯の茶が、外交を変えた。
皇帝の立場が、一気に強化された。
会場がどよめいた。
高官たちは驚き、喜んでいた。
でも一人だけ、違う表情の人物がいた。
皇太后だった。
慈恵の顔は、蒼白になっていた。
唇が震えている。
屈辱に震えていた。
自分が取り仕切る宴で。
自分が排除しようとした茶妃が、国の英雄になった。
許せなかった。
でも、何も言えなかった。
皇帝が立ち上がった。
会場が静まる。
皇帝は中央にいる鈴音の元へ歩いた。
鈴音の前で立ち止まる。
手を差し伸べた。