毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

会場は完全に静まり返っていた。
誰もが、鈴音の動きに見入っていた。
使節団長も、息を飲んで見ている。
茶が完成した。
鈴音は茶碗を持ち上げた。
両手で、丁寧に。
使節団長の前に進み、跪いた。
「どうぞ」
差し出す。
使節団長は茶碗を受け取った。
まず香りを嗅ぐ。
目を見開いた。
「この香り……」
驚きの表情。
一口飲んだ。
絶句した。
茶碗を見つめる。
もう一口、また一口。
ゆっくりと味わう。
全てを飲み干した後、使節団長は長い沈黙を保った。
やがて、顔を上げた。
「これほどの茶は……」
声が震えていた。
「初めてだ」
茶碗を両手で持ち、鈴音に返す。
そして、深々と頭を下げた。
「恐れ入った。この国の茶は、世界一だ」
会場がざわめいた。
あれほど傲慢だった使節団長が、頭を下げている。
皇帝が微笑んだ。
「茶妃の腕前、いかがでしたか」
使節団長は立ち上がった。
皇帝に向かって、深く一礼した。
「陛下、先ほどの無礼をお詫びします」
その態度は、一変していた。
「この国の文化、侮っておりました」
宴の雰囲気が変わった。
使節団長は、柔和な表情になっていた。