毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

その先頭に立つのが、使節団長だった。
五十代の男。恰幅が良く、顎を上げて歩いている。
傲慢な態度。
皇帝に一礼したが、その礼は浅かった。
明らかに、この国を見下している。
「ようこそ」
皇帝が言った。
「遠路はるばる、ご苦労であった」
使節団長は椅子に座った。
足を組む。
「我が国からの提案、お聞き及びでしょうな」
その口調は、対等ではなかった。
上から目線。
皇太后が微笑んだ。
「もちろんです。貴国のご提案、真摯に検討させていただきます」
宴が始まった。
料理が運ばれてくる。
豪華な食事。
でも使節団長は、料理にほとんど手をつけなかった。
不満そうな顔。
「これが、この国の最高の料理か」
呟くように言った。
周囲の者が聞こえるように。
侮辱だった。
皇帝の顔が険しくなった。
でも何も言わなかった。
外交上、我慢するしかない。
皇太后は平然としていた。
むしろ、この状況を楽しんでいるようだった。
皇帝の立場が弱まれば、自分の力が増す。
そう計算していた。
宴が進む中、使節団長が口を開いた。
「我が国の茶は、世界一だ」
自慢げに言った。
「この国の茶など、足元にも及ばぬ」