毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

風が草を撫でる。
太陽が茶碗を照らす。
全てが調和していた。
鈴音は茶碗を皇帝に差し出した。
「どうぞ」
皇帝は茶碗を受け取った。
香りを嗅ぐ。
一口飲む。
目を閉じた。
「美味い」
静かに言った。
「いつもと同じ茶なのに、味が違う」
鈴音も自分の分を点てた。
二人、並んで座り、茶を飲む。
会話はなかった。
でも、沈黙が心地よかった。
言葉はいらなかった。
ただ、一緒にいる。
それだけで十分だった。
茶を飲み終えた皇帝が、笑った。
小さく、でも心からの笑い。
鈴音は驚いた。
皇帝が笑うなんて、珍しい。
「どうかなさいましたか」
「いや」
皇帝は首を横に振った。
「こんなに平和な時間を過ごせるとは思わなかった」
鈴音を見る。
「お前といると、全てが穏やかになる」
鈴音は微笑んだ。
「私も同じです」
二人は再び、景色を眺めた。
茶園の緑。
青い空。
白い雲。
全てが美しかった。
「こんな時間が、ずっと続けば」
皇帝が呟いた。
「戦いも、陰謀も、何もない。ただ、こうして一緒にいられれば」
その声には、切なさが滲んでいた。
鈴音は皇帝の手を取った。
「いつか、そうなります」