毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

朝、鈴音は茶園で茶の木の手入れをしていた。
新芽を摘み、枯れた葉を取り除く。
太陽が暖かかった。
春の陽気。
新緑が目に眩しい。
茶の木々が、若々しい緑色に染まっている。
足音が聞こえた。
鈴音は振り返った。
皇帝だった。
簡素な衣装。護衛も連れていない。
一人で歩いてくる。
珍しいことだった。
皇帝が日中、しかも一人で茶園に来るなんて。
「陛下」
鈴音は立ち上がり、一礼した。
「お一人ですか」
「ああ」
皇帝は茶園を見渡した。
「たまには、こういうのも良いと思った」
鈴音は微笑んだ。
「では、ご案内します」
二人は茶園を歩き始めた。
緑の小道。
両側に茶の木が並ぶ。
風が吹くたびに、葉がさらさらと音を立てる。
「ここは、静かで良い」
皇帝が呟いた。
「宮殿は、いつも騒がしい。臣下の声、妃たちの噂話、全てがうるさい」
鈴音は皇帝の横顔を見た。
疲れているようだった。
「でもここは違う。茶の葉の音と、鳥の声だけだ」
皇帝は深呼吸をした。
「落ち着く」
二人は茶園の中央にある小さな広場に着いた。
平らな場所。
そこからは茶園全体が見渡せた。
皇帝は座り込んだ。
草の上に。
鈴音も隣に座った。
しばらく、無言で景色を眺めた。
風が心地よい。
太陽の光が優しい。