毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

鈴音の手を取り、傷に薬を塗り始めた。
優しく、丁寧に。
鈴音は皇帝の顔を見た。
真剣な表情。
この人は、自分を心配してくれている。
胸が温かくなった。
「ありがとうございます」
皇帝は顔を上げた。
二人の目が合う。
長い沈黙。
やがて皇帝は小さく微笑んだ。
「お前のためだ。当然のことをしているだけだ」
薬を塗り終え、布で手を包んだ。
「今日はもう休め」
「でも……」
「命令だ」
皇帝の声は優しかった。
鈴音は頷いた。
「分かりました」
翌日、茶商人が茶室を訪れた。
老人の商人。長年、茶を扱ってきた男。
「銀龍茶について、お聞きしたいことがあると」
鈴音は頷いた。
「ご存知ですか」
商人は長いひげを撫でた。
「伝説ですな。百年前に絶滅したとされる幻の茶葉」
「種も、残っていませんか」
商人は考え込んだ。
「昔、聞いたことがあります。辺境の村に、古い茶農家があると。そこに、銀龍茶の種が保管されているかもしれないと」
鈴音は身を乗り出した。
「本当ですか」
「確証はありません。ただの噂です」
商人は続けた。
「でも、そこは……」
言葉を濁す。
「皇太后派の領地です」
鈴音の表情が曇った。