毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

妃たちは戸惑った表情で互いを見合わせた。
ぎこちない空気。
誰も口を開かない。
鈴音は立ち上がった。
「では、お茶を淹れます」
茶器を準備する。
一人ずつに、特製の茶を振る舞った。
まず梅香に。
「安眠の茶です」
梅香は微笑んで受け取った。
次に蘭芳に。
「美容の茶です」
蘭芳は嬉しそうに香りを嗅いだ。
紫苑、蓮華、菊花にも、それぞれの茶を。
妃たちは茶を飲み始めた。
「美味しい」
「心が落ち着く」
「身体が温まる」
笑顔が広がる。
鈴音は最後に、静華の前に茶碗を置いた。
「孤独の茶です」
その言葉に、静華の表情が変わった。
驚き。
そして、警戒。
「何を……」
「あなたは孤独です」
鈴音は静かに言った。
「皇太后派にいながら、誰も信じられない。誰にも心を開けない。ずっと一人で戦ってきた」
静華の手が震えた。
「香りで分かります。あなたの苦しみが」
鈴音は静華の目を見つめた。
「でも、もう一人じゃありません。ここには、仲間がいます」
静華は茶碗を見た。
長い沈黙。
やがて、手を伸ばした。
茶碗を持ち上げる。
香りを嗅ぐ。
温かい香り。優しい香り。
一口飲んだ。
静華の目が見開かれた。