毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「ありがとう。そこに置いて」
翠蘭は茶碗を置いた。
でも、すぐには去らなかった。
鈴音を見つめている。
「どうしたの?」
「お妃様」
翠蘭は躊躇いながら言った。
「後宮が、変わりました」
鈴音は翠蘭を見た。
翠蘭の目は真剣だった。
「お妃様が来る前は、みんな冷たくて、怖くて。妃様たちは互いに憎み合い、侍女たちは怯えていました」
翠蘭の声が震えた。
「でも今は違います。みんな、笑えるようになった」
鈴音は息を飲んだ。
「妃様たちは仲良くなって、侍女たちも安心して働けるようになりました」
翠蘭は涙を浮かべて微笑んだ。
「お妃様が、後宮に光をもたらしたんです」
その言葉が、鈴音の胸に響いた。
翠蘭は一礼して、茶室を出ていった。
一人残された鈴音は、翠蘭の言葉を反芻していた。
後宮が変わった。
本当に?
鈴音は記憶を辿った。
フラッシュバックが始まった。
最初の茶会。
冷たい視線。敵意に満ちた妃たち。
梅香の氷のような目。
蘭芳の嫉妬の表情。
でも今は。
笑顔の梅香。
穏やかに眠れるようになった梅香。
「ありがとう」と言ってくれた梅香。
明るい蘭芳。
美への不安を乗り越えた蘭芳。