毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

茶話会が終わった。
妃たちは笑顔で帰っていった。
梅香も、蘭芳も、他の妃たちも。
みんな、穏やかな表情だった。
翠蘭が茶器を片付けている。
「お妃様、今日も素敵な茶会でしたね」
嬉しそうな声。
鈴音は微笑んで頷いた。
「そうね」
でも心は、どこか落ち着かなかった。
「翠蘭、私一人にして」
翠蘭は驚いた顔をした。
「でも、片付けが……」
「大丈夫。後でやるから」
鈴音は優しく言った。
「少し、一人になりたいの」
翠蘭は心配そうに鈴音を見たが、やがて頷いた。
「分かりました。何かありましたら、すぐにお呼びください」
一礼して、翠蘭は茶室を出ていった。
静寂が訪れた。
鈴音は茶室の中央に座った。
目の前には、片付けられていない茶碗が一つ残っていた。
自分が使っていた茶碗。
茶碗の中には、まだ茶が少し残っている。
その水面に、自分の顔が映っていた。
鈴音は茶碗を見つめた。
歪んだ顔。
でも確かに、自分の顔。
「私は何のためにここにいるの?」
呟いた。
誰に問いかけているのか、自分でも分からなかった。
茶碗の中の自分に?