毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

諦めていた希望が、蘇った。
何十年も、いや生まれてから一度も抱いたことのなかった希望。
自由になれるかもしれない。
人として生きられるかもしれない。
その希望が、胸の中で芽生えた。
皇帝は鈴音の手を取った。
温かかった。
生きている手。
「お前がいれば」
皇帝は囁いた。
「朕は人でいられる」
鈴音の手を強く握る。
「お前だけだ。朕を、人に戻してくれるのは」
鈴音は皇帝の手を握り返した。
「私も、陛下がいるから強くなれます」
微笑む。
「一緒に、未来を歩きましょう」
皇帝は頷いた。
二人は立ち上がった。
手を繋いだまま、月を見上げる。
満月が、二人を照らしていた。
優しい光。
二人の影が、地面に映っている。
寄り添う影。
月光の中で、二人の影が重なった。
皇帝が鈴音を引き寄せる。
抱きしめる。
鈴音も皇帝を抱きしめた。
温もり。
互いの鼓動が感じられる。
「ありがとう」
皇帝が囁いた。
「生まれて初めて、希望を持てた」
鈴音は目を閉じた。
「私こそ、ありがとうございます。あなたに会えて、本当に良かった」
月が雲に隠れた。
でもすぐにまた現れた。
二人を照らし続ける。
風が吹いた。