毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

鈴音は皇帝の隣に立った。
「戦いが、始まったのですね」
皇帝は頷いた。
「ああ。もう引き返せない」
二人は並んで、茶園を眺めた。
荒らされた茶園。
でもその向こうには、まだ無事な茶の木が青々と茂っている。
希望は、まだ残っていた。
「朕は勝つ」
皇帝が言った。
「お前のために。この後宮のために」
鈴音は皇帝の手を取った。
「一緒に、戦いましょう」
皇帝は鈴音を見た。
その目には、決意が宿っていた。
そして、愛が。
夕刻、禁軍が茶室と茶園を取り囲んだ。
黒い鎧の兵士たちが、規則正しく配置されている。
完璧な警備体制。
もう誰も、簡単には近づけない。
鈴音は茶室の窓から、その様子を見ていた。
翠蘭が茶を持ってきた。
「お妃様、これで少しは安心ですね」
「ええ」
鈴音は茶碗を受け取った。
でも心は落ち着かなかった。
皇太后は、これで諦めるだろうか。
いや。
あの方は、もっと恐ろしい手を使ってくるはずだ。
鈴音は茶を飲んだ。
苦味が舌に広がる。
「翠蘭」
「はい」
「覚悟しておいて」
鈴音は真剣な表情で言った。
「これからもっと、厳しくなる」
翠蘭は頷いた。