毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

やがて皇帝は鈴音を見た。
「すまない」
「いいえ」
鈴音は微笑んだ。
「私がいます。大丈夫」
その言葉に、皇帝の表情が僅かに緩んだ。
でもすぐに、また厳しい顔に戻った。
「お前に何かあれば」
皇帝は言った。
「朕は……」
言葉が続かない。
でもその目には、深い恐怖が宿っていた。
鈴音がいなくなれば、龍化を制御できなくなる。
人でいられなくなる。
そして、全てを破壊してしまう。
皇帝は鈴音を引き寄せた。
抱きしめる。
強く。
「必ず守る」
耳元で囁いた。
「お前だけは、必ず」
鈴音は皇帝の腕の中で目を閉じた。
温かかった。
この人の腕の中は、とても温かかった。
皇帝は鈴音を離し、立ち上がった。
扉を開け、外で待機していた禁軍の将軍を呼んだ。
「茶室と茶園に、禁軍を配置せよ」
命令する声は、絶対的だった。
「二十四時間、警備を怠るな。何者も近づけるな」
将軍が跪く。
「御意」
皇帝は続けた。
「皇太后派の動きを監視せよ。報告は全て朕に」
その命令は、明確な宣戦布告だった。
将軍が去った後、皇帝は窓の外を見た。
「これで、皇太后への圧力が強まる」
呟くように言った。