毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

若い木だった。大切に育ててきた木。
手で起こそうとしたが、根が完全に切られている。
もう植え直すことはできない。
「誰が……」
声が震えた。
怒りと悲しみが込み上げてくる。
茶の木を撫でる。冷たい葉。
涙が溢れた。
この木を育てるのに、どれだけの時間をかけたか。
どれだけの愛情を注いだか。
それが、一夜にして台無しにされた。
足跡が残っていた。
複数人。計画的な犯行だった。
鈴音は茶園を見渡した。
被害は一部だけではなかった。
あちこちで茶の木が倒されている。
全体の三分の一は、使い物にならなくなっていた。
翠蘭が駆けてきた。
「お妃様!」
息を切らせている。
茶園の惨状を見て、翠蘭も立ち尽くした。
「ひどい……」
二人は言葉を失った。
しばらくして、鈴音は立ち上がった。
「倉庫を確認する」
翠蘭を促し、茶葉の倉庫へ向かった。
倉庫の扉が開いていた。
鍵が壊されている。
中に入ると、棚が荒らされていた。
茶葉の入った壺が倒され、中身が散乱している。
鈴音は棚を確認した。
希少な茶葉が保管されていた場所。
空だった。
「龍鳳茶が……」
鈴音の声が途切れた。
最も貴重な茶葉。