毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

独房の前で立ち止まった。鉄格子の向こうは暗い。
兵士が鈴音を押し込む。
鈴音は床に転がった。冷たい石が頬に触れる。
ガチャン。
鉄格子が閉まる音が、絶望的に響いた。
兵士たちの足音が遠ざかっていく。
静寂。
鈴音は床に座り込んだまま、動けなかった。
どれくらい時間が経ったのか分からなかった。
足音が近づいてくる。軽い足音だった。
鉄格子の向こうに、若い娘が立っていた。侍女の衣装を着ている。手には木の盆があり、その上に粗末な食事が載っていた。
娘は格子に食事を差し入れた。
「お妃様」
小さな声だった。
鈴音は顔を上げた。娘の目が、潤んでいた。
「信じてます」
娘は震える声で言った。
「お妃様は無実です。絶対に」
その言葉に、鈴音の目から涙が溢れた。
初めてだった。この世界で、自分を信じてくれる人がいると知ったのは。
「あなたは……」
「翠蘭と申します」
娘は柔らかく微笑んだ。
「ずっとお妃様にお仕えしたいと思っておりました。どうか、希望を捨てないでください」
翠蘭はそれだけ言うと、足早に去っていった。
鈴音は床に置かれた食事を見つめた。涙が止まらなかった。