毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「何の話かしら」
「眠れない夜が続いているのでしょう」
鈴音は梅香を見た。
梅香の顔が強張る。
「蘭芳様は、美しさを保つことに不安を感じている」
蘭芳が息を飲んだ。
鈴音は一人一人を見つめた。
「胃の不調。心の不安。抑えきれない怒り。全てを拒絶したい気持ち」
妃たちは動揺していた。
図星を突かれた表情。
「なぜ……」
誰かが呟いた。
「香りで分かります」
鈴音は微笑んだ。
「体調も、心の状態も、香りに現れるのです」
沈黙。
長い沈黙。
やがて鈴音は立ち上がった。
「私にできることがあれば、お手伝いします」
深く一礼する。
「茶を通じて、皆様の苦しみを和らげることができるかもしれません」
妃たちは言葉を失っていた。
敵意が、僅かに揺らいでいた。
鈴音は茶室を出ようとした。
その時、梅香の声が聞こえた。
「待ちなさい」
鈴音は振り返った。
梅香は複雑な表情をしていた。
怒り、困惑、そして僅かな好奇心。
「また……」
梅香は言葉を選ぶように、ゆっくりと言った。
「また、来なさい」
その声には、以前のような冷たさはなかった。
鈴音は微笑んだ。
「喜んで」
一礼して、茶室を後にした。