毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

慈恵が去った後、翠蘭が震えながら鈴音に駆け寄った。
「お妃様、大丈夫ですか」
「大丈夫よ」
鈴音は微笑んだ。でも心臓は激しく打っていた。
翠蘭は窓の外を確認してから、小声で言った。
「皇太后様は、恐ろしい方です」
「知ってる」
「過去に、皇太后様に逆らった妃が何人もいました」
翠蘭の声は震えていた。
「みんな、消されました。病死、事故死……でも本当は」
言葉が途切れる。
鈴音は翠蘭の手を握った。
「分かってる。でも」
茶園を見つめる。
「私にしかできないことがある」
翠蘭は不安そうに鈴音を見た。
「皇帝を救うこと。それが私の使命」
鈴音は決意に満ちた目で言った。
「だから、恐れない」
夕刻、皇帝が茶室を訪れた。
一人で。
護衛も連れずに。
鈴音は驚いて出迎えた。
「陛下、お一人で」
「構わぬ」
皇帝は茶室に入った。
縁側に座り、池を見つめる。
「良い場所だ」
鈴音は茶を淹れ始めた。
抹茶を点てる。シャカシャカという音だけが響く。
茶碗を皇帝に差し出す。
皇帝は茶を一口飲んだ。
深い息を吐く。
「落ち着く」
呟くように言った。
二人は並んで座り、池を眺めた。