毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

二人の兵士が鈴音の両腕を掴む。抵抗する間もなかった。
「待って! 私じゃない!」
鈴音は叫んだ。声が裏返る。
「私は何もしていません! 信じて!」
しかし兵士たちは聞く耳を持たなかった。一人が茶器の入った箱を開け、中身を押収していく。茶碗、茶筅、茶入れ。鈴音が大切にしていた道具たちが、乱暴に袋に詰め込まれていった。
冷たい金属が手首に巻きつく。手枷だった。
「お願い、話を聞いて!」
鈴音は必死に訴えた。でも兵士たちの目は冷たかった。
「黙れ、毒姫!」
その言葉が胸に突き刺さる。
兵士たちに引きずられるように、鈴音は部屋から連れ出された。
後宮の回廊は、夢のように美しかった。
朱色の柱が規則正しく並び、金色の装飾が朝日を反射して輝いている。池には蓮の花が咲き、鯉が優雅に泳いでいた。花の香りが風に乗って漂ってくる。
でも、鈴音の足は別の方向へと向かっていた。
回廊を進むにつれ、景色が変わっていく。朱色の柱が灰色の石柱に。金色の装飾が消え、壁は無機質な石になる。花の香りは消え、代わりに湿った腐臭が鼻を突いた。
牢獄だった。
冷たい石畳。薄暗い通路。壁には松明が揺らめいている。