毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

翌朝、鈴音は大殿に呼ばれた。
正式な任命式が行われるという。
金色の装飾に満ちた広間。高官たちが居並び、妃たちも全員揃っていた。
鈴音は中央に進み出た。
皇帝が玉座から立ち上がった。
「本日より、鈴音を専属茶妃に任命する」
その声が広間に響く。
専属茶妃。
前例のない称号だった。皇帝専属の茶を淹れる妃。それは特別な地位を意味していた。
鈴音は深く頭を下げた。
「謹んでお受けいたします」
侍従が金の印を載せた盆を運んできた。
茶妃の印。精巧な彫刻が施された、手のひらサイズの金印。
皇帝が自ら印を手に取り、鈴音に授けた。
「朕の茶は、お前に任せる」
鈴音は両手で印を受け取った。
ずっしりとした重み。それは責任の重さでもあった。
広間に拍手が起こった。
でも、鈴音は感じていた。
他の妃たちの視線を。
冷たい視線。嫉妬に満ちた視線。敵意を隠そうともしない視線。
六人の妃たちが、一列に並んでいた。
第一妃・梅香は無表情だったが、その目は氷のようだった。
第二妃・蘭芳は唇を噛み、鈴音を睨んでいた。
他の妃たちも同様だった。
鈴音は彼女たちの視線を受け止めた。
これが、後宮の現実なのだ。
任命式の後、鈴音は新しい住まいに案内された。
後宮の奥、池のほとりに建つ建物だった。
翠蘭が興奮した様子で先導する。