毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「いつもは、何時間もかかる。苦しみに耐えながら、必死に抑え込む」
皇帝は窓の外を見た。
「でも、お前の茶は……」
振り返る。
「一口で、朕を鎮めた」
鈴音は立ち上がった。
「それは……抹茶です。心を落ち着かせる効果があります」
「抹茶」
皇帝は繰り返した。
そして、鈴音を真っ直ぐ見つめた。
「お前の茶だけが、朕を鎮める」
その言葉には、絶対的な確信があった。
皇帝は鈴音に近づいた。
「これから、毎日淹れてくれ」
それは命令ではなかった。
懇願だった。
鈴音は深呼吸をした。
この約束がどれほど重いか、分かっていた。
でも。
「これからも、お淹れします」
鈴音は微笑んだ。
「いつでも、どんな時でも」
皇帝の目が、僅かに潤んだ。
初めて見る、人間らしい表情。
「ありがとう」
小さく呟いた。
鈴音は胸が熱くなった。
引き返せない道に踏み出した。
でも、後悔はなかった。
この人を救いたい。
その想いだけが、確かにあった。