毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

鈴音は茶碗を持ち、皇帝の前に跪いた。
「どうぞ」
差し出す。
皇帝は苦しそうに鈴音を見た。
金色の目。でもその奥に、人の心が見えた。
「飲んで、ください」
鈴音は懇願した。
皇帝は震える手で茶碗を受け取った。
茶碗を口に運ぶ。
一口。
皇帝の目が見開かれた。
鈴音は固唾を飲んで見守った。
次の瞬間。
不思議な光景が見えた。
幻視。
緑色の光が、皇帝の体内を巡っていく。
喉から胸へ。胸から腹へ。そして全身へ。
温かい光。優しい光。
その光が触れたところから、金色の鱗が消えていく。
皇帝の背後に、巨大な金龍の影が見えた。
咆哮する龍。
でも緑の光がその龍を包み込む。
龍の影が薄れていく。
やがて、完全に消えた。
皇帝の目が、黒に戻った。
肌から鱗が消える。
呼吸が落ち着く。
茶碗を置いた皇帝は、自分の手を見つめた。
震えが止まっている。
長い沈黙。
皇帝は鈴音を見た。
「何だ、この茶は……」
その声には、驚愕と安堵が混じっていた。
「初めてだ」
皇帝は呟いた。
「龍化を、こんなに早く鎮められたのは」
立ち上がり、部屋の中を歩く。
自分の体を確認するように。