毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

鈴音は言葉が出なかった。
ただ、深く頭を下げた。
その夜、鈴音は皇帝の私室に呼ばれた。
翠蘭が新しい衣装を持ってきた。淡い緑色の絹の衣。
「お妃様、皇帝様がお待ちです」
翠蘭の目は輝いていた。
「よかった、本当によかった」
鈴音は着替えを済ませ、翠蘭に導かれて皇帝の私室へ向かった。
長い回廊を歩く。
やがて、巨大な扉の前に着いた。
禁軍の兵士が扉を開ける。
鈴音は中に入った。
息を飲んだ。
部屋は想像以上に豪華だった。
天井は高く、金箔が施されている。壁には龍の絵が描かれ、床には上質な絨毯が敷かれている。
でも、不思議なほど冷たい雰囲気だった。
装飾は美しいが、生活の温もりがない。まるで誰も住んでいない宮殿のようだった。
部屋の奥、玉座に皇帝が座っていた。
一人。
側近も侍女もいない。ただ一人で、茶を飲もうとしていた。
鈴音は進み出て、跪いた。
「お呼びでございますか」
「顔を上げよ」
皇帝の声。
鈴音は顔を上げた。
皇帝は茶碗を手にしていた。でもまだ口をつけていない。
皇帝が茶碗を持ち上げようとした。
その時、手が震え始めた。
かすかに。でも確かに。
茶碗が揺れる。茶が波打つ。