毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

長い沈黙。
やがて、皇帝の顔が険しくなった。
「確かに……毒の香りがする」
その声は、怒りに震えていた。
群衆が動揺する。
「では、茶妃は無実なのか」
「誰が毒を塗ったのだ」
「真犯人は誰だ」
鈴音は群衆を見渡した。
その中に、一人だけ顔色の悪い女がいた。
宮女の衣装。若い女。その顔は蒼白で、唇が震えている。
鈴音は女を指差した。
「あなたですね」
女が飛び上がった。
「ち、違う! 私は何も!」
でもその声は、明らかに動揺していた。
皇帝が目配せをする。
禁軍の兵士が素早く動いた。女の両腕を掴む。
「放せ! 私は何もしていない!」
女は必死に抵抗した。でも兵士の力には敵わなかった。
引きずられていく女。
その時、女は叫んだ。
「私じゃない! 私は命令されただけ! 皇太后様が……」
そこで女は口を押さえた。
しまった、という表情。
でも遅かった。
言葉は既に広場中に響き渡っていた。
皇太后。
群衆が凍りついた。
皇帝の目が、金色に光った。
怒り。
抑えきれない怒りが、その瞳に宿っていた。
「皇太后が……」
低く呟く声。
でもその声には、恐ろしい力が込められていた。
女は泣き崩れた。