毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「でも、茶器に予め毒を塗っておけば話は別です。熱い湯を注いだ瞬間、毒が溶け出す。茶葉は無実。罪は全て、茶を淹れた者に着せられる」
完璧な犯罪だった。
鈴音は茶碗を掲げた。
「この茶碗には、かすかにトリカブトの香りが残っています」
鈴音は皇帝を見た。
「あの茶会で使った茶器を、持ってきてください」
皇帝は無言で頷いた。
兵士が走り、しばらくして茶器を持って戻ってきた。
金色の茶碗。豪華な装飾。あの日、皇帝に献上したものだった。
兵士が処刑台に上がり、鈴音に茶碗を渡す。
鈴音は茶碗を受け取った。
外側は美しい。金箔が施され、龍の文様が彫られている。
でも、問題は内側だった。
鈴音は茶碗を裏返し、内側を見た。
一見、何もない。清潔に洗われている。
でも。
鼻を近づける。
深く息を吸い込む。
あった。
かすかに、でも確かに。
あの香りが残っていた。
「これです」
鈴音は顔を上げた。
「トリカブトの残り香が、まだ残っています」
茶碗を高く掲げる。
「これが証拠です!」
群衆が息を飲んだ。
皇帝が立ち上がった。
「その茶碗を、朕に」
兵士が茶碗を受け取り、皇帝に渡す。
皇帝は茶碗の内側を嗅いだ。