毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

白い湯気。それが陽光を受けて、金色に輝く。
鈴音は湯気を見つめた。
その中に、何かが見えた。
幻影。
花の形。優美に咲く花々。
でも、その奥に。
別の影が揺らめいた。
枯れた草。黒く変色した葉。毒々しい紫の花。
トリカブトだった。
鈴音は息を飲んだ。
「この香り!」
茶碗を鼻に近づける。
龍井茶の香り。その下に、隠された香り。
苦く、鋭く、刺すような香り。
記憶の中の香りと一致した。
「前の茶会の茶器と同じ!」
鈴音の声が、広場に響いた。
鈴音は立ち上がった。
白装束の裾が風に揺れる。
「皆様!」
群衆を見渡して叫んだ。
「真犯人は、茶葉ではなく茶器に毒を塗ったのです!」
静寂が破れた。
群衆が一斉にざわめく。
「何だと?」
「茶器に?」
「そんな馬鹿な」
皇帝が身を乗り出した。その目が鋭く光る。
「説明せよ」
低い声だった。でも、そこには興味が滲んでいた。
鈴音は深呼吸をした。
「茶葉に毒を混ぜれば、必ず香りで分かります。私は茶の専門家です。毒の香りを見逃すはずがない」
群衆が頷く。