毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

縁側に並んで立ち、朝日を見つめた。
太陽が完全に昇った。
眩しい光が、二人を照らす。
茶室を照らす。
茶園を照らす。
後宮を照らす。
全てを、温かく包み込む。
鈴音は深呼吸をした。
清々しい空気。
新しい一日の空気。
「これから、やることがたくさんある」
皇帝が言った。
鈴音は頷いた。
「はい」
二人は手を繋いで、茶室を後にした。
でも扉の前で、鈴音が振り返った。
茶器が置かれている。
その茶碗から、まだ僅かに湯気が立ち上っていた。
鈴音は目を凝らした。
湯気の中に、何かが見えた。
幻影。
金色の龍の姿。
でも暴れる龍ではなかった。
穏やかに微笑む龍。
優しく舞う龍。
そしてその周りに、花の幻影が浮かんでいた。
蓮の花。
梅の花。
蘭の花。
様々な花が、龍と共に舞っている。
美しい光景。
平和な光景。
龍と花が、調和している。
それは、この後宮の姿だった。
力と優しさが共存する場所。
男性と女性が対等に生きる場所。
誰もが自由に、笑顔でいられる場所。
「鈴音?」
皇帝が呼んだ。
「どうした」
鈴音は微笑んだ。
「いいえ、何でもありません」
もう一度湯気を見る。