毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「一緒に笑いたい。一緒に泣きたい。一緒に、この後宮を変えたい」
さらに一歩。
龍の目の前まで来た。
見上げる。
巨大な龍。
その目の奥に、人の心が見えた。
苦しんでいる。
助けを求めている。
「だから、戻ってきて!」
鈴音は叫んだ。
「お願い!」
龍の目から、涙が溢れた。
巨大な涙。
それが地面に落ちる。
龍が、ゆっくりと口を開けた。
炎を吐くのではなかった。
その巨大な口が、鈴音の前に降りてきた。
鈴音は茶碗を持ち上げた。
両手で、しっかりと。
そして、龍の口の中に茶を注ぎ込んだ。
小さな茶碗。
その中の、わずかな茶。
巨大な龍の口。
視覚的な対比が、圧倒的だった。
でも、茶は確かに龍の口に入った。
一滴残らず。
全てを。
龍の喉を通り、体内に入っていく。
瞬間、龍の身体が光り始めた。
銀色の光。
優しく、温かい光。
光が龍全体を包み込む。
龍の咆哮が変わった。
苦しみの声から、安らぎの声へ。
身体が小さくなり始めた。
金色の鱗が消えていく。
爪が縮む。
尾が短くなる。
翼が消える。
光が強くなった。
眩しいほどの光。
妃たちが目を覆う。
鈴音も目を細めた。
でも、見つめ続けた。