毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

龍が翼を広げた。
巨大な翼。
一振りするだけで、暴風が巻き起こった。
人々が吹き飛ばされる。
建物の屋根が飛ぶ。
木が根こそぎ倒れる。
龍が空を飛んだ。
宮殿の上空を旋回する。
そして口を開けた。
炎が噴き出した。
赤く、熱い炎。
建物が燃え始めた。
茶室が。
妃たちの住まいが。
宮殿が。
次々と炎に包まれていく。
地獄だった。
後宮が、地獄と化していた。
鈴音は立ち尽くしていた。
龍を見上げる。
炎の中で。
煙の中で。
ただ、呆然と。
「私のせいだ......」
呟いた。
涙が溢れる。
「全て、私のせいだ......」
龍鎮の茶を飲ませることができなかった。
皇帝を怒らせてしまった。
龍化を、完全に引き起こしてしまった。
そして今、後宮が破壊されている。
人々が逃げ惑っている。
全て、自分のせいだ。
膝から力が抜けた。
崩れ落ちる。
地面に手をつく。
「私が......私が......」
声が震える。
割れた茶碗の破片が、地面に散らばっていた。
鈴音はその破片を拾い上げた。
手のひらに乗せる。
小さな破片。
これに、全てがかかっていたのに。
全てが、終わった。