毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

拳を握りしめている。
全身が震えていた。
「許さぬ......」
低く、唸るような声。
「絶対に、許さぬ......」
怒り。
抑えきれない怒りが、込み上げてくる。
誰が差し向けたのか。
分かっていた。
皇太后だ。
皇太后が、最後の妨害をした。
龍鎮の茶を飲ませないために。
鈴音を絶望させるために。
全てを奪うために。
「許さぬ......」
皇帝の声が変わっていった。
人の声ではなくなっていく。
目が、金色に光り始めた。
「陛下!」
鈴音が叫んだ。
立ち上がる。
皇帝に駆け寄ろうとした。
でも遅かった。
皇帝の首筋に、鱗が浮かび上がった。
細かい金色の鱗。
それが首から頬へ、額へと広がっていく。
手の甲にも鱗が現れた。
爪が伸びる。
鋭い、金色の爪。
身体が大きくなり始めた。
龍袍が裂ける。
筋肉が膨張する。
骨格が変化する。
龍化だった。
でも今までとは違った。
制御が、完全に失われていた。
怒りが、理性を超えていた。
「逃げろ!」
高官の一人が叫んだ。
人々が一斉に大殿から逃げ出す。
妃たちも慌てて出口へ向かった。
「鈴音!」
梅香が叫んだ。
「早く!」