毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「もし、効かなければ」
その声には、恐怖があった。
希望を抱いて、裏切られることへの恐怖。
鈴音は皇帝の目を見つめた。
「信じてます」
その目には、揺るぎない信頼があった。
「この茶は、必ずあなたを救います」
微笑む。
「だから、飲んでください」
皇帝は深呼吸をした。
茶碗を受け取る。
重い。
この一杯に、全てがかかっている。
自分の運命。
鈴音との未来。
全て。
皇帝は茶碗を口に運んだ。
香りを嗅ぐ。
優しい香り。
愛の香り。
そして、一口飲んだ。
茶室が静まり返った。
鈴音も、翠蘭も、息を詰めて見守る。
皇帝の目が見開かれた。
茶碗を見つめる。
もう一口、また一口。
ゆっくりと味わう。
茶が体内を巡っていく。
温かい。
優しい。
そして、何かが変わっていく。
胸の奥で、何かが解けていく。
龍の魂が、鎮まっていく。
暴れる龍が、穏やかになっていく。
皇帝は茶を飲み干した。
茶碗を置く。
長い沈黙。
やがて、皇帝は顔を上げた。
涙を流していた。
「鈴音……」
声が震える。
「これは……」
鈴音は駆け寄った。
「どうですか」
皇帝は鈴音を抱きしめた。