毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

全ての動作に、心を込めた。
祈るように。
愛するように。
最後の一煎ができあがった。
茶碗に注ぐ。
淡い銀色の茶。
でも今までと違った。
光が、宿っていた。
優しい光。
温かい光。
香りを嗅ぐ。
甘く、優しい香り。
花の香り、草の香り、そして愛の香り。
立ち上る湯気の中に、何かが見えた。
幻影。
龍の姿。
でも暴れる龍ではなかった。
穏やかに舞う龍。
優雅に、美しく。
その龍が、湯気の中で微笑んでいるようだった。
「これだ」
鈴音は涙を流した。
「龍鎮の茶」
ついに、完成した。
翠蘭も涙を流していた。
「お妃様……」
鈴音は茶碗を両手で持った。
震える手。
でも、確かな手。
「皇帝を呼んで」
翠蘭は頷き、走っていった。
しばらくして、皇帝が茶室に現れた。
息を切らせている。
急いで来たのだ。
「鈴音」
「陛下」
鈴音は立ち上がった。
茶碗を持って、皇帝の前に進む。
「飲んでください」
茶碗を差し出す。
皇帝は茶碗を見つめた。
淡い銀色の茶。
立ち上る湯気。
その中に、穏やかな龍の幻影。
「これが……」
「龍鎮の茶です」
鈴音は微笑んだ。
「あなたを救う茶」
皇帝はためらった。