毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

整った顔立ち。鋭い眼光。黒い瞳には感情が読み取れない。
威厳に満ちた佇まい。まるで人ではなく、神のようだった。
皇帝は高座に座った。群衆が一斉に跪く。
鈴音も頭を下げる。
皇帝の視線が、自分に向けられているのが分かった。
冷たい視線。裁きの視線。
でも、その奥に何があるのかは見えなかった。
処刑執行人が進み出た。
刀を構える。刃が太陽の光を反射して、鋭く輝いた。
群衆が息を呑む。
鈴音は目を閉じた。
このまま終わるのか。
真実を証明できないまま。
だめだ。
鈴音は目を開けた。
「お願いがあります!」
大きな声で叫んだ。
群衆がどよめく。処刑執行人が動きを止めた。
皇帝が僅かに身を乗り出す。
「最後の言葉か」
低く、威厳のある声だった。
「申せ」
鈴音は深呼吸をした。心臓が激しく打つ。
「最後に一度だけ、茶を淹れさせてください」
静寂。
群衆が凍りついたように静まり返った。
皇帝は鈴音を見つめた。
長い沈黙。
鈴音は視線を逸らさなかった。真っ直ぐに皇帝を見返した。
やがて、皇帝の唇が僅かに動いた。
「面白い」
その声には、僅かな興味が滲んでいた。
「許可する」
群衆がざわめいた。