毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

生命の息吹を感じた。
「ありがとう」
茶の木に向かって囁いた。
「これから、あなたの力を借りるわ」
風が吹いた。
茶の木が揺れる。
まるで応えるように。
必要な分の茶葉を摘み終えた。
鈴音は籠を抱えて、新しく建てられた茶室へ向かった。
妃たちが協力して、一ヶ月で再建してくれた茶室。
以前より小さいが、機能的で美しい。
茶室に入ると、翠蘭が待っていた。
傷も癒え、元気を取り戻していた。
「お妃様、銀龍茶ですね」
「ええ」
鈴音は籠を置いた。
「今夜、龍鎮の茶を作る」
翠蘭の目が輝いた。
「ついに」
「ええ。ついに」
鈴音は深呼吸をした。
「これが最後の挑戦よ」
夜が訪れた。
茶室には鈴音と翠蘭だけがいた。
燭台の灯りが、部屋を照らしている。
鈴音は茶葉を並べた。
銀龍茶、緑茶、白茶、黄茶。
古文書に記された配合を思い出す。
前世の全知識を総動員する。
日本茶の知識。
中国茶の知識。
茶の化学。
香りの理論。
全てを組み合わせる。
まず、銀龍茶を主軸に。
次に緑茶で清涼感を加える。
白茶で優しさを。
黄茶で深みを。
一つ一つの茶葉を測り、混ぜていく。
温度管理が重要だった。