毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

空には大きな月が浮かんでいる。
明るく、優しい光。
鈴音は茶園で、銀龍茶に水をやっていた。
もう膝の高さまで育っていた。
葉も増え、茎も太くなった。
順調すぎるほど、順調だった。
「鈴音」
声がした。
振り返ると、皇帝が立っていた。
月明かりに照らされた姿。
いつもより柔らかい表情。
「陛下」
鈴音はバケツを置いた。
「どうかなさいましたか」
皇帝は鈴音に近づいた。
銀龍茶の前で立ち止まる。
「話がある」
真剣な顔。
鈴音は頷いた。
「はい」
皇帝は深呼吸をした。
そして、鈴音の前に跪いた。
鈴音は驚いた。
「陛下! 何を……」
「聞いてくれ」
皇帝は鈴音を見上げた。
月光が、その顔を照らしている。
「朕の皇后になってくれ」
その言葉に、鈴音の心臓が止まりそうになった。
「え……」
「お前がいなければ、朕は人でいられない」
皇帝の声は、真剣だった。
「お前の茶が、朕を救う。お前の笑顔が、朕に希望を与える」
立ち上がり、鈴音の手を取る。
「一緒にいてほしい。朕の隣で、朕を支えてほしい」
鈴音の目から、涙が溢れた。
驚きと喜びが、胸を満たした。
「陛下……」
声が震える。