毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

憎悪に満ちた声。石を投げる者もいた。兵士が盾で防ぐ。
鈴音は顔を上げた。群衆を見た。
恐怖と怒りに歪んだ顔。でも、その奥には不安も見える。
この人たちは、真実を知らない。ただ、自分たちの皇帝が毒を盛られたという事実だけを知っている。
責めることはできなかった。
処刑場が見えてきた。
広場の中央に築かれた高い台。朱色に塗られた木組み。その上に、黒い断頭台が設置されている。
視覚的な対比が残酷だった。青い空、朱い台、黒い断頭台。そして白い装束の自分。
鈴音は階段を登った。一段、また一段。
台の上に立つと、群衆の全てが見渡せた。数百人はいるだろう。全員がこちらを見ている。
処刑執行人が待っていた。黒い頭巾を被り、大きな刀を持っている。
鈴音は指定された位置に膝をついた。
群衆がさらにざわめいた。
鐘が鳴った。
群衆が静まり返る。
広場の奥から、行列が近づいてきた。
金色の輿。その周りを禁軍が固めている。
皇帝だった。
輿が処刑台の正面、一段高い観覧席の前で止まった。
輿の簾が上がる。
現れたのは、金色の龍袍をまとった男だった。
煌龍。
鈴音は息を飲んだ。
初めて、間近で見る皇帝。