毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

種を植えた土を、そっと撫でる。
まるで、応えるように。
妃たちは手を繋いだ。
種を植えた場所を囲む。
輪になる。
「きっと、うまくいく」
梅香が言った。
「信じましょう」
蘭芳が頷いた。
「奇跡を」
妃たちは空を見上げた。
夕日が昇り始めていた。
オレンジ色の光が、茶園を照らす。
美しい光。
希望の光。
その夜、鈴音は翠蘭の部屋を訪れた。
翠蘭はまだ眠っていた。
でも呼吸は安定していた。
顔色も良くなっていた。
鈴音は枕元に座った。
翠蘭の手を握る。
「今日、種を植えたわ」
囁くように話しかける。
「銀龍茶の種。焼け跡から見つかったの」
翠蘭の瞼が、僅かに動いた。
「妃たちが手伝ってくれた。みんなで茶園を耕したの」
鈴音は微笑んだ。
「泥まみれになって、笑い合って。楽しかったわ」
翠蘭の指が、僅かに動いた。
鈴音の手を、弱く握り返す。
「翠蘭?」
鈴音は身を乗り出した。
翠蘭の瞼が、ゆっくりと開いた。
弱々しい目。
でも、確かに意識がある。
「お妃様……」
かすれた声。
「私……生きてる」
鈴音の涙が溢れた。
「翠蘭!」
翠蘭を抱きしめる。
「おかえり! おかえりなさい!」